「住宅ローン」金利の交渉はできる?金利の基礎知識と注意点
2024.3.24 最新更新日
住宅ローンを借りる時、気になるのはやはり「金利」ですね。
金利が高いか低いかによって、支払い総額に大きな違いが出てきます。
返済までの間に金利の変動があるにせよ(全期間固定金利を除く)、できれば低金利で借り入れたいもの。
借り換えの時だけでなく、最初の借り入れでも金利の交渉はできるものなのでしょうか。
金利の基礎知識と共に交渉についてのポイントをお話します。
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「店頭金利」「優遇金利」「適用金利」3つの違い
金利交渉の話をする前に、まず金利の違いをおさえておきましょう。
銀行など金融機関で住宅ローンのポスターを見かけたことがあると思います。
おおむね以下のようなことが書かれています。
(朝日ホーム作成 ポスター内の数字は架空のものです)
ここで注目していただきたいのは、「店頭金利」「優遇金利」「適用金利」の3つです。
- 店頭金利
各金融機関が短期プライムレートをもとに利益やコストを考慮して定めている元々の金利。
「基準金利」「店舗表示金利」とも言われます。
このポスターでは「店舗表示金利」と書かれている数字が店頭金利です。 - 優遇金利
「金利引き下げ幅」とも言われ、各金融機関でローン融資の際に割り引ける金利。
優遇金利には幅があり、条件を満たしている人ほど優遇幅は大きくなります。
このポスターでは、青い帯部分が優遇金利の最大幅となります。 - 適用金利
実際にローン借入するとき適用される金利。
「表面金利」などとも言われます。
店頭金利 ー 優遇金利 = 適用金利となり、人それぞれ適用金利は異なります。
このポスターでは、赤字の大きな数字が最低限度の適用金利となります。
金利はどの日の数字が適用されるの?
財形住宅融資とフラット35・民間の金融機関では適用時期が違います。
- 財形住宅融資
「申し込み時金利」が適用されるため、申し込んだ日の金利から変わりません。
- フラット35・民間の金融機関
「申し込み時金利」ではなく融資実行日となった日の金利(「引き渡し時金利」)が適用されます。
フラット35・民間の金融機関の場合、申し込みから家の引渡しまでに数か月から1年程度の期間があります。
「引き渡し時金利」は、「申し込み時金利」から変動することもあります。
住宅ローンをフラット35・民間の金融機関で借り入れる場合は、金利適用時には申し込み時より金利が上昇する可能性もあるので注意しましょう。
当初優遇と通期優遇の違い
優遇金利には、適用期間の違いで「当初優遇」か「通期優遇」に分けられます。
それぞれのメリット・デメリットを簡単に挙げてみました。
- 当初優遇
・決められた期間だけ、通期優遇よりも優遇幅が大きく金利が低い
・優遇期間を過ぎると金利が高くなる
・繰り上げ返済をして短期で返済したい人に向いている
- 通期優遇
・ローンの期間中、同じ金利が維持される
・長期で借りる時や繰り上げ返済をしない場合は、通期優遇の方が総支払額は低い
・長期でローン返済したい人、変動金利の上昇リスクをできるだけ避けたい人に向いている
どちらがいいかは借りる人の状況によりますが、ライフプランの計画やシミュレーションでの総支払額の計算をしたうえで決定しましょう。
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金利交渉できるもの?
結論から言えば、交渉すること自体は可能です。
ただし交渉したからと言って必ず金利が下がるとは限りません。
また、金利も闇雲に下げられるわけではなく、交渉できる限度は以下のような範囲と考えられるようです。
- その銀行の優遇金利の範囲内
- 他の金融機関で事前審査した際の金利差
交渉するうえで注意すること
交渉するにあたって、何よりもまず前提として、ご自身が問題なく事前審査に通過していなければなりません。
また、公表されている優遇金利が一番低いから、適用金利も一番低いということはありません。
優遇金利の審査基準は各金融機関で異なっており、A銀行で1.5%の優遇が受けられるからと言って、B銀行でも1.5%優遇されるとは限らないのです。
公表されている店頭金利、審査で割り当てられる優遇金利はそれぞれ違うため、勘違いしないよう注意しましょう。
さらに、交渉している間に金利が変動すると意味がなくなることもあるので、金利の動向を注視する必要があります。
優遇金利を最大限受けるためのポイント
先に述べたように、優遇金利には幅があります。
ローン審査の結果によって、この幅の中であなたに優遇される金利が決められます。
決定基準は公表されていないことが多く、理由も教えて貰えないことがほとんどです。
金融機関の中には、以下のような観点をポイント制で優遇をしているところもあるようです。
- 給与口座に指定している
- 引落しなどで利用している
- 一定額以上の預金がある など
金利交渉に応じてもらえないケース
- フラット35で借り入れる場合
フラット35は「独立行政法人 住宅支援機構」と民間の金融機関が提携しているいわば半官半民の金融機関のため、個人個人の状況によって金利を変えることはできません。
ただし家族構成や住宅性能で金利を引き下げる「金利引き下げメニュー」があり、該当する項目があればそれぞれの金利引き下げ幅が適用されます。
- 最大限の優遇金利がついている場合
事前審査などで最初から最大限の優遇金利がついている場合は、それより金利が下がることは難しいかもしれません。
最大限の優遇ということは、その金融機関が「自分の利益を最小にしてあなたに貸します」ということです。
他との比較を持ち出したら「ではそちらへどうぞ」と言われてしまうかも。
ただし借り換えの場合は「他機関に借り換えられるより、金利を下げても継続して欲しい」と考える場合もあるため、他機関と比較するのも有効かもしれません。
これからの金利動向をチェックしつつ、金利交渉を
先日、日銀はマイナス金利政策の解除を発表しました。
固定金利の基準となる長期金利の引き上げもわずかで、変動金利の基準となる短期プライムレートは据え置きとされ、住宅ローンの金利は大きな変動はないといわれています。
しかし今後、さらに利上げ政策が進めば、いつ上昇してもおかしくない状況なのは確かでしょう。
金利上昇が始まれば、交渉は難しくなるかもしれません。
低金利のあいだに全期間固定金利で借り入れるのも一つの選択だと思いますし、変動金利でギリギリまで粘るという方もいらっしゃるでしょう。
どちらにしても、事前審査で提示された金利に納得がいかない場合は金利交渉にトライしてみてはいかがでしょうか。
長期的な視点で考えて、ご自身にあった無理のない借り入れをして頂きたいと思います。
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